オタクの備忘録

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【ネタバレ有り】スクールアイドルミュージカル初見ざっくり感想

2022年12月東京、新国立劇場

ラブライブ!シリーズ第5の新世界となる、新たな激熱コンテンツがここに誕生しました。

 

スクールアイドルミュージカル

の話です。12月14日(水)の昼公演に行ってきました。

 

めちゃくちゃ感動しました。これはもう本っっっっっ当に面白かったです。その勢いのままに、こちらのざっくりした感想をネタバレ込みで書き殴っていきます。毎度のことながらあまりにも感動しすぎて記憶がガバガバなのでレポートとしての正確性には期待しないでください。

 

本筋の内容にも多少触れるので「まだ観てなくてこれから大阪公演行くつもりの人」はご遠慮いただいた方がいいかもしれません。「現状行くつもりのない人」は最悪ネタバレ踏んでからでもいいのでぜひ行ってください。

 

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(ネタバレ配慮の空白)

 

 

 

 

 

 

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はじめに

ラブライブ!シリーズ5番目のタイトルであり、シリーズとしては初めてのミュージカル作品となったのが「スクールアイドルミュージカル」です。細かい話は省略するので、まずは公式サイトをご覧ください。

 

www.lovelive-anime.jp

 

シリーズの新作としていきなりミュージカルが始まると告知され、私もよく知らないまま気づいたら公演始まってて、なんだかよく分からないまま謎のコンテンツとして観測してました。

 

ところがどっこい、ツイッター等で行った人の感想が流れてくるとこれがバチバチに大好評の様子で、どんなものなのか自分の目で見なければ後悔するだろうと確信して急遽行って参りました。ぬまづフェスのとき(詳しくは当時の感想文より)と同じパターンです。今回のスクミュも実際めちゃめちゃ面白かったです。

 

yonepon-wake-up.hatenablog.jp

 

 

 

ミュージカルという形について

今までのラブライブシリーズで中心だったアニメ・ゲームや声優ユニットのライブから、全く新しい形になった「ミュージカル」。物語上のキャラクターを生身の人間が演じるという意味ではいわゆる2.5次元の概念に近いものですが、今回は2次元側のキャラクターが描かれる前にいきなり3次元のミュージカルから始まるということで少しイメージしづらい部分がありました。私自身、ライブにはよく参加してきたものの舞台演劇系の現場にはほとんど行ったことなく完全に初心者でした。(似たような分野だと「少女歌劇レヴュースタァライト」や「Wake Up, Girls!」などの舞台版を少し観た程度。)

 

最初の感想としてはやっぱり「これがミュージカルか!」という雰囲気で、冒頭からラストまで物語を進行する会話のほとんどを歌に乗せていたのが印象的でした。体感的には通常の会話セリフ3割歌唱によるやり取り7割という感じ。劇伴音楽からシームレスに歌に移行する流れが気持ちよくて、アニメやライブ以上に物語への没入感がありました。逆に、本当に大事なところではセリフも音もない静寂の「間」を空ける場面もあったりして、これはアニメでは表現できないであろう独特の良さがありました。あとはシンプルに音響が良かったと思います。一般的なミュージカルの水準はよく分かりませんが、ライブに行って「今日の会場は音響良いな~」って感じるときと同等以上に綺麗な楽器音が響いてたのでたぶん良かったです。

 

劇中の舞台となった椿咲花と滝桜の2校、そしてメンバーの自宅や野外ステージなど、それらの舞台セット転換もとてもスムーズにおこなわれていて違和感なく楽しくことができました。通常のライブで言うなら2つのライブを同時に見ている感覚すらありました。主に2校の背景を使いつつ、それを活かしながら他の場面の舞台セットもうまく差し込んでいたのが印象的でした。

 

役者の皆さんも、当たり前の話ですが全員が完璧に役を演じきっていて見事でした。歌やダンスのパフォーマンスも単純に綺麗なだけでなく、ダンスの上手いキャラは上手く、下手なキャラはあえて下手なように見せられていたのが生身の舞台ならではの演技表現で感動しました。(そして、ラストのライブステージでは本気を出した完成版が見られる。)

 

メインキャラ10名+理事長2名だけでなく、その裏でバックダンサーやコーラスとして舞台を盛り上げるモブの皆さん(アイドル部以外の一般生徒など)も結構な人数と存在感があって良かったです。「モブ」と呼んでしまうのが失礼に感じるくらい活躍されてらっしゃいました。主要人物たちにスポットが当たる場面でも背後でさまざまな動きを見せてくれたので、アニメで言うなら画面外の様子が同時に見えるような感覚で空間的立体的に広がる世界観を楽しめました。

 

あらすじと序盤のストーリーについて

兵庫と大阪、関西に位置する二つの伝統校。
芸能コース選抜アイドル部の活躍で
ブランド化に成功した大阪・滝桜(タキザクラ)女学院と、
昔ながらの進学校、兵庫・椿咲花(ツバキサクハナ)女子高校。
対立する2校の理事長の娘である二人の少女が
アイドル活動を通じて出会うことで、
彼女たちを取り巻く小さな世界に、
大きな変化が生まれていく―。

大事な約束より大事なことを探して……。

新たな舞台(セカイ)で始まる、「みんなで叶える物語」。
いま、スクールアイドルをはじめよう!!

(※公式サイト「ストーリー」より引用)

 

(※公式サイト「登場人物」より画像引用)

 

あらすじ、および登場人物の関係性としては上記のような感じです。これだけ読んでもなんのこっちゃという感じですが、おおよそこのままのストーリーでした。ウソは書いてなかったですね。

 

もっとざっくり言うなら上半分の人たちの話でした。ルリカを中心にマドカ理事長ユズハたちが動く椿咲花のストーリー。アンズを軸にキョウカ理事長ミスズを取り巻く滝桜のストーリー。序盤は二つの学校のストーリーが並行して展開され、やがて交差してひとつの物語になっていくような印象でした。どちらか一方だけが主人公というわけではなく2校の物語が対等に描かれていたので、過去のシリーズのアニメと単純比較するなら2倍面白くて2倍感動できました。

 

滝桜女学院芸能コース選抜アイドル部でセンターを務めるのがアンズ。歌もダンスもハイレベルで部員たち後輩たちにも慕われる人気アイドルですが、彼女がセンターになったのは母親であるキョウカ理事長の指示らしい。そのことに不満を漏らすのが、同じくハイレベルな実力者であるミスズ。アンズの横でセンターポジションを狙う強気な子ながら、理事長からは直々にアンズのサポートを任されているという複雑な立場でした。学校の名を背負って厳しいレッスンを重ねるアイドル部、そのセンターとしてのプレッシャーからアンズは実力が伸び悩み、アイドルとして歌うことステージに立つことへの意欲を失いかけていました。これが滝桜のお話。

 

そんな滝桜アイドル部のステージをテレビで観て、憧れを抱いたのが椿咲花女子高等学校ルリカでした。滝桜とは対称的に進学校で勉強漬けの椿咲花、その中でも学年トップの成績をおさめていたルリカはやがてアイドルへの憧れを募らせて、学業の成績を落としていきます。ルリカを将来の理事長候補として厳しく指導する母親のマドカ理事長と、幼馴染のユズハを含むルリカの友人たちも心配しています。そしてルリカは仲間たちを巻き込んでアイドル活動を始めることを提案し、マドカ理事長から激しく反対されます。これが椿咲花での話。

 

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ルリカとアンズ。タイプの違う2人の主人公視点で物語が進行していくのが面白かったですね。両者とも母親からの強いプレッシャーを受けて伸び悩んでいるところ、それを乗り越えた先の成長を見られるところがこの年頃の女の子らしいと言えるでしょうか。ただ、「親からの干渉」が障壁のひとつとして強く影響してくる展開は、今までのラブライブ作品と比べるとちょっと珍しいような新鮮な感じがしました。(サンシャインに鞠莉ママがいましたが彼女は終盤~劇場版での登場なので)

 

伝統や格式を重視する椿咲花では最初にマドカ理事長がアイドル活動に反対しますが、これが過去のシリーズにおける「認められないわァ」の役回りでしたね。ふたつの意味で伝統を守ってるというか、そのポジションが今回は生徒会長ではなく理事長でした。何の経験もない素人たちがアイドルとしてステージに立つことを目指すという椿咲花の奮闘は、シンプルで分かりやすい成長物語でした。

 

一方の滝桜ではストーリー開始時点で既に「アイドル部」が存在しておりますが、生徒たちが自主的に活動するだけでなくキョウカ理事長からの厳しい指導が入る点と、学校のブランド化や知名度向上といった商業的な役割やメジャーデビューを目標としたプロ志向が強く押し出されている点において今までのラブライブ的スクールアイドルの定義とは意味合いがだいぶ違いました。強いて言うなら今回の2校の関係性は音ノ木坂とUTX学院の対比に近いでしょうか。

 

ここまでの話が序章。やがて母親と仲違いしたアンズ滝桜のアイドル部を辞めて椿咲花に転校し、彼女と出会ったルリカ本格的にアイドル部を立ち上げようとする......といったところが本筋の始まりでした。ここからの展開がかなり面白かったです。

 

主要な登場人物について

まずは滝桜のセンター、滝沢アンズについて。「幼い頃から歌うことが好き」で、アイドル部でも高い能力とカリスマを発揮している主人公の1人として描かれました。ラブライブシリーズの主人公で言うと澁谷かのんに近い要素があるのかなと思いました。アイドル活動を諦めてしまった彼女がルリカたちに出会い、椿咲花で新生アイドル部の面倒を見ているうちに自身もアイドルとして歌うこと踊ることの楽しさを思い出していく...という内面的な成長がとても魅力的でした。本作における私の推しキャラその1です。

 

(公式の画像より引用)

アンズ(演:関根優那さん)は華やかな笑顔やキレのあるダンスも見事で、王道アイドル然としたステージ上での振る舞いが素晴らしかったです。

 

アイドル部離脱でアンズを失った滝桜アイドル部は、空席となったセンター争いに振り回されてしまい「今まではアンズが部員たちをうまくまとめあげていたこと」すなわち歌やダンスの実力だけではないセンターとしての適性、彼女の唯一無二の魅力に気づくという展開が胸熱でした。その魅力は転校先の椿咲花でも発揮され、こちらでも彼女がなくてはならない存在になってしまうわけですが。

 

もう1人の主人公椿ルリカについて。アンズたちに出会ったことでアイドルへの憧れを募らせ、歌やダンスの経験はないが持ち前の素直さで仲間たちに慕われるという人物でした。こちらは主人公としては高海千歌に似たタイプですかね。(外からやってきたアンズに影響を受けるところも、梨子ちゃんとの関係性に近いものを感じました。)まあ椿咲花で成績上位をキープしていただけでも普通ではないことだと思いますが。

 

「アイドルの輝きに魅せられた感動」を彼女が全身で表現してくれたため(舞台上を走って飛び跳ねて、激しく動いていました)、私も最初にラブライブ沼にハマった当時の気持ちを思い出してとても共感できました。そんな明るい彼女もストーリー中盤では、入学希望者が年々減り続けてる椿咲花の現状とこのままではいずれ廃校してしまうことを知ってしまいます。それから、若くして亡くなった父親との大事な約束「お母さんを助けること」を胸に秘め、アイドル部の活躍によって学校の人気を高めようと奔走しました。

 

廃校回避の目的を仲間たちに隠したままアイドル部を盛り上げようと先走ったルリカは、やがてメンバーたちと気持ちがすれ違ってしまいます。でも、そこでルリカを1人にしなかったのがユズハでした。

 

皇ユズハちゃん。ルリカの幼馴染でお嬢様。進学校である椿咲花の中でも特にずば抜けた優等生タイプで、ルリカとともに学年上位の成績をキープしてきた親友の1人でした。「これから塾に行く時間なので...」で去っていく場面が複数回ありましたね。性格は引っ込み思案で運動は苦手(走り方のクセが強い)、あまりにも真面目すぎてちょっと天然気味に見えるようなキャラクターでした。友達想いのとても純粋な娘で、すごく可愛い私の推しその2になりました。

 

ユズハ(演:浅井七海さん)はキャラのイメージに声や外見もぴったりハマっていて、ストライクど真ん中を撃ち抜かれました。好きです。

 

で、やっぱりピンチの時に頼れるのは幼馴染なんですよ。孤立してしまったルリカのところに1人駆けつける場面で本当に好きになりました。結果的には普通に寝坊したマーヤを連れてヒカルとユキノも来てくれたんですけど。椿咲花女子高アイドル部、すごく良いチームでした。

 

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アイドルたちに負けず劣らず注目を集めた2人の理事長、滝沢キョウカ椿マドカについて。キョウマドとかマドキョウとか覇権カプとか呼ばれてるらしいですがまあ置いといて。劇中の解説によれば幼少期から交流があり、学業においても部活のバレーボールにおいても激しく競い合ってきたライバルで、ついには大人になってからも学校経営者として真逆の思想でいがみ合うライバル同士になるというめちゃくちゃ重たい関係性の女たちでした。

 

もちろんアイドル役ではありませんが、ミュージカルなのでしっかりと歌う場面がありました。それも明らかにハイレベルな歌唱力と表現力で。演じるキャストのお二方も実はすごい経歴のベテラン役者さんだということで納得の配役でした。大人がかっこよく活躍してる作品って、アニメでもミュージカルでも面白いものなんだなって実感しました。

 

ライバルでありながら2人とも似たりよったり、娘に対する執着が強い母親でしたね。学校経営者としても教育者としても、それぞれにはっきりした行動理念が見える人物でした。強い意志が空回りして娘たちと相容れない場面もありましたが、子供たちの未来を考えて大人としてやるべきことを一生懸命やってるだけの人物として(決してただの悪役ではなく)描写されてたのが良かったです。キョウマドの2人および親子間の和解を経て手を取り合い、ラストはどちらも娘を激推しするだけの溺愛ママと化していたのが愉快でした。(おい見てるかルリカのパパさん...あんたの家族は元気にやってるよ...)

 

「スクールアイドル」について

中盤からクライマックスにかけての展開では、ついに「スクールアイドル」がどういう存在であるかという根源的なテーマに触れました。"スクールアイドルミュージカル"というタイトルに偽りなしで見事でした。

 

そもそも冒頭の時点ではスクールアイドルという概念がまだ存在していないような世界観設定で、改めてその誕生エピソードに触れるという大きな意味がこの作品にありました。μ'sが活躍した無印ラブライブよりも前の時代設定なんですかね。そして、大会としての「ラブライブ」の名前は一度も出てきませんでした。"ラブライブ"ではないのに"ラブライブらしさ"を感じられる物語。これを実現しているのがすごいことだと思います。

 

スクールアイドルという概念には本当にいろんな要素が混ざり合っていますが、特に今回は「親や大人たちの意向で成るものではなく、生徒たちが自分たち自身の意志によってステージに立つものである」という自主性の部分が最も大事なところだったかと私は思いました。それから、歌やダンスの技術ではなく「彼女たちが一生懸命であること、ライブを誰よりも楽しんでいること」が私たちファンを心から感動させてくれるのだと改めて気付かされました。

 

まとめ、その他感想

細かい部分についての感想はすっ飛ばしてきましたが、そんなこんなでペンライト使用可のライブパートまで含めて、あっという間の2時間半でした。中盤から終盤にかけての展開に感動しっぱなしでひたすら大号泣、終わったあとも軽い放心状態のまま劇場の外に出ました。本当に面白い作品なのか半信半疑のままチケットを買ったミュージカルでしたが、確実に元は取ったと思えるくらいの満足度がありました。

 

全体的にはこれまでのラブライブ作品とは全く違うストーリーで新鮮な気持ちで楽しめました。むしろラブライブ以外のアイドルアニメ作品を連想してしまうような部分もあったりして、それらが好きなオタクに向けても自信を持っておすすめしたいと思っています。そんな中にも初代・サンシャイン・虹ヶ咲・スーパースターで見てきたものにどこか通じるような要素や懐かしい雰囲気もあって、ラブライブシリーズのオタクとしても熱い気持ちになりました。「スクールアイドル」あるいは「広義のアイドル」を描く作品として、こうあるべきではないかという私にとっての理想の物語がまたひとつ心に刻まれました。

 

今回の公演、オンラインでの映像配信はなく現地で観るのみでした。これはこれで生のミュージカルの良さをしっかり味わうには必要なことだったと思いますが、もっともっとたくさんの人に見てもらいたいと願っています。来月には大阪での公演もあります。例えばこちらの最終公演を配信してもらうか、あるいは円盤化をぜひ検討していただきたいと個人的には考えています。「スクールアイドルミュージカル」という本物の名作を、ラブライブシリーズの歴史に刻んで多くの人に語り継いでもらいたいのです。

 

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ラブライブシリーズのオタクとしては、今回の現場が2022年の締めくくりとなりました。(本当は2週間前のLiella3rd仙台ラブライブ納めのはずだったんですけどね)

 

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今年はLiella1stツアー終盤から3rdツアー開幕に至るまでを光の速度で駆け抜け、アニメ放送は虹ヶ咲2期スーパースター2期がありました。Aqoursは久しぶりのナンバリングとなる6thライブで完全復活、ぬまづフェスの開催を経て二度目の東京ドームまで辿り着きました。これらの熱い流れを追いかけてこれた1年間、本当に盛りだくさんで楽しかったです。(感想ブログもたくさん書かせていただきました。)そのラストに話題をかっさらっていくような勢いで誕生したスクールアイドルミュージカルに出会えるとは思っていませんでした。

 

私がメインで追ってきたAqours、Liella、そしてまだ見ぬ新展開の数々。来年もラブライブシリーズがどんな素敵な景色を見せてくれるのか、とても楽しみにしています。今年も1年ありがとうございました。皆様よいお年を。

 

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