オタクの備忘録

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Aqours 6th LoveLive! WINDY STAGE ライブ感想【前編】

良いライブ、というものを観てきた時、何かしらの形で感想文を残したくなるものです。

 

それは、自分の中で風化していく記憶、想い出、熱狂、感動を記録として残したいという想いであったり、同じライブに参加した人たちと共有したい感情があったり、あるいは他所のオタクに対して「こんなに面白いものが今ここにあるぞ」「俺は今これが好きなんだよ」と伝えたい気持ちであったりします。

 

ただ、今回ばかりは私の過去の経験にも例がないほど、このライブに対する想いを正確に書き残すのは本当に難しいと思っています。東京ドーム1個分には決して収まらない、海よりも巨大な感情が果てしなく溢れていて、その中のどこをどう切り取っても宝石のように眩しく輝いているからです。

 

それでも、歩みを止めてしまえば人は何も成すことができないということを、この物語から教わってきました。この経験を糧にして、私自身も一歩でも前へ進んでいきたい。そんな願いを込めながら今回のブログを書かせていただきます。

 

 

うまくいかないってあきらめたら

きっと後から悔しいよ

だから無茶だって やってみたいよ その先は

わからない わからない でもね おもしろそう

君のこころは輝いてるかい? / Aqours より)

 

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2022年6月25日・26日の2日間。首都圏一帯はこの時期としては異常なほど暑い週末を迎えました。強く吹き抜ける風と、真夏のように照りつける日差しの中....

 

Aqours 6th LoveLive!

~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~

追加公演<WINDY STAGE>に参加してきました。

 

ラブライブ!サンシャイン!!発のスクールアイドル/声優ユニットとして活動を続け、今年6月で結成7周年を迎えるAqours。6番目のナンバリングライブとなる今回のツアー、それ以前から数々の素晴らしいステージを作り続けてきた彼女たちにおいても、あらゆる意味で史上最高を更新したと言える完全無欠のライブでありました。会場は東京ドーム。現時点でのラブライブ史における最大最高の夢の舞台にて、Aqoursは4thライブ以来の二度目の単独公演を開催することができました。

 

遡ること3月、同じ6thツアーの埼玉公演SUNNY STAGEの場にて、この追加公演WINDY STAGEの開催が発表されました。会場、日程、さまざまな面で多くの人にとって特別な意味を感じるライブであり、私自身もここへ向かう前から今までの歩みを整理などして臨みました。直近で参加してきたAqoursぬまづフェスティバルの影響も大きいです。この辺りについては以前のブログに書いたのでそちらも参照いただければと思います。

 

yonepon-wake-up.hatenablog.jp

 

yonepon-wake-up.hatenablog.jp

 

この辺りを踏まえつつ、ライブ感想【前編】ではライブ全体を通してのざっくりした感想と印象に残ったポイントを、【後編】では個別の楽曲についてセトリを順に追っていく形でライブを振り返ってみたいと思います。

 

 

 

ライブ初日の感想

まずは「重い」。想定を超えてとにかく重たいライブに感じた、というのがDAY1を終えた時点での私の第一の感想でした。

 

 

規模の大きさ、とは少し違う感覚です。質量がある。と言い換えた方がいいかもしれません。苦しいほどにのしかかってくる重さ。濃密重厚。次々に披露される大切な楽曲たちを浴びながら、そういった言葉が浮かんでいました。私が感じた重さのおよそ半分はアニメとしての物語の重さ。もう半分は2020年以降~現在までの苦しい時期を足掻いてきたユニットAqoursが抱えた経験の重さでした。このライブそのものにメンバーたちが感じていたというプレッシャーの重さも伝わってきたものかもしれません。

 

細かい内容については後述しますが、浦の星交響楽団による劇伴音楽の生演奏、幕間映像の「きょうのAqours」パートや一部楽曲中で流れたアニメ映像演出、そのほか全体のセトリ構成などから、ラブライブサンシャインの(2次元側のキャラクターたちの)アニメの物語を強く感じるようなライブに仕上がっていました。これが私としてはちょっと意外にも感じまして、同時にとても嬉しく思いました。2019年の劇場版でアニメが完結して以降そこからのAqours声優ユニットとしての展開が中心となっている、という話をよく耳にしましたがそれでも大元の作品の物語を大事にしてくれることが嬉しかったです。

 

とくに劇伴音楽の演奏は、これを聴くだけでアニメの場面や過去のライブが思い浮かんで泣く限界オタクなので私にはすごく刺さりました。一方、そこまで深くない新規層の人たちはこのライブを楽しめたのだろうか?という心配も残りました。(この余計な感想は、DAY2で周囲の熱気と拍手の強さを感じて覆されることになります。)

 

セトリ上で特に印象に残った曲は「未体験HORIZON」「Next SPARKLING!!」「Brightest Melody」「君のこころは輝いてるかい?」でした。この辺り振り返っても総じて存在感が重い楽曲ばかりなんですよね。これがDAY1のざっくりした感想です。

 

 

これは余談ですがライブ前はJIMO-AI Dashとかサンシャインぴっかぴか音頭とかやってくれないかなと期待してました。この時点で私はAqoursのことが何ひとつ分かっていませんでした。

 

2日目を終えての感想

初日の重さをほぼそのままに、そこから比べものにならないほどパワフルな推進力と圧倒的な熱量を感じたのがDAY2でした。まさに私の心の中を風が突き抜けるような衝撃でした。

 

 

もちろんDAY1も良いライブだったのですが、DAY2はそれ以上にメンバー、楽団、そして周囲の観客、ライブに懸ける全員の熱意が跳ね上がったように感じました。なんなら開演前から現場の空気がちょっと違ったように思います。やはりツアーファイナルには特別な力がありました。私自身とにかく圧倒されたまま終わってしまったDAY1と違い、DAY2は心の準備を整えられたおかげで映像や演出、演奏、パフォーマンス、周囲の盛り上がりまで含め広く細かくしっかりと見たり聴いたりできたというのも大きいかもしれません。トータルの満足度も桁違いでした。

 

セトリ上で大きく変わったところはソロ曲パートの入れ替わりと終盤の「キセキヒカル」「想いよひとつになれ」の披露、そしてダブルアンコールでの2回目の「なんどだって約束!」など。更に「来年2月3月のEXTRAライブ開催」「新作シリーズアニメ"幻日のヨハネ"制作決定」という特報で会場の盛り上がりが大爆発しました。

 

特報発表と最後の挨拶 → SUKI for you, DREAM for you! → ダブアンなんどだって約束!というクライマックスですね。この流れに乗ってメンバーそれぞれの溢れ出す感情を100%そのままぶつけたようなパワフルな歌唱。センターステージ・花道やトコッコで広く散らばったメンバーの立ち位置に合わせて、刻々と移り変わる客席のブレードの色。この日1番の音量でいつまでも鳴り止まない拍手。これが今のAqoursのライブだと言わんばかりの歓喜が溢れる空間に感動が止まりませんでした。やはりクライマックスが熱いライブというのは本当に良いライブなんです。その公演で作り上げてきたモノの答えがそこに詰まっているので。

 

1stから一貫して変わらないAqoursの良さと、5th以降も各メンバーが様々な苦労を重ねた結果新しく生まれた今のAqoursの強さ。今までやってきたことを圧縮して全部やった上で全く新しいものを加えたライブというのはもう完全上位互換と言っても過言ではありません。それらの全てが合わさって、現状で観客は大声が出せないという大きな制約に縛られながらも、過去最高を更新したライブになったと私は思います。

 

会場とステージについて

東京ドーム。この会場とAqours/ラブライブにまつわる文脈については皆さんご存知なので言うまでもないでしょう。実際にライブ会場としては国内有数の広さ/設備を誇るすごい場所です。アキバから電車1本ですぐ行けるアクセスも強い。そしてちゃんと密閉されてるから虫も入ってこないし冷暖房も効いてて快適です。周辺全体が東京ドームシティというレジャー施設になってるため、ライブに参加するオタク以外の一般客も多く歩いているのがちょっと大変なところでした。最寄りのセブンで例のエクレアを大量入荷していたのは神。

 

当日物販列にもかなりの人数が並んでましたね。私は会場受け取りの事前予約で欲しかったグッズをサッと手に入れることができました。便利な時代になったものだなと改めて思います。会場付近に集まってきたオタク群を眺めながら、こうしてライブ現場が戻ってきてくれた喜びを噛み締めておりました。それと、ぬまづフェスのキャストさんか普通の一般客かは分からないのですが、浦女生徒風の恰好をした女性や男性もたくさん見かけてエモくなっておりました。あのイベントのおかげでこの世界観の解像度が爆上がりしています。

 

 

↑ちょうどこの公式ツイート写真が、2日目の私の視点(2階スタンド席1塁側)とほぼ同じでした。とにかくたくさんの人が入っていることは分かりますが、現地の体感的には想像していたよりもステージが近く感じました。不思議と4thの時よりも狭く感じたような、そんな錯覚もありました。ちなみに初日も2階席でさらに上の段でしたが、角度的にはほぼ真正面だったのでこちらも見やすかったです。

 

横長の超巨大スクリーンを備えた上下2段のメインステージに、その両端からアリーナ前方席を囲むように繋がる花道とセンターステージ。更にそこから独立したバックステージとオーケストラピットがあるというのが今回のステージ構造でした。更に、メインステージ中央部分が独立してバックステージ付近までスライドするというムービングステージ演出も導入されていました。率直にかなり金かかってるなという印象で、ゆえにチケ代が定価で12000円~というお高めな設定なのも納得のところでした。(正直マジで高い...だがライブの内容はプライスレス......)

 

 

↑上の公式ツイート写真のように、この巨大スクリーンが本当に見やすくて素晴らしいものでした。ライブ中は映像を9分割して全員の姿や表情を映したり、2分割や3分割でアニメ映像・楽団の映像・指揮者の姿・メンバーの表情を同時に映すなど使い方にもかなりのこだわりを感じました。KOKORO Magic "A to Z"では画面中央でキャラクターMVを流しながら両サイドの画面でMVと同じアングルを再現してキャストを映すというリアルタイムでのカメラスイッチングが完璧すぎる離れ業も観られました。Next SPARKLING!!のフォーメーション上で離れた場所にいる3年生3人と在校生6人の、二つの映像を半透明に重ね合わせることで両者の繋がりを表現した演出も非常に印象深いところでした。

 

こうしたカメラ映像の取り扱いと、カメラ越しでも伝わるライブパフォーマンスには無観客配信ライブを通して洗練されてきた技術もあるんじゃないかと私は思います。2020年から今に至るまでの苦労が決して無駄ではなかったと思わせてくれた部分でした。Aqoursのライブは射程距離が長いと私はよく言うのですが、ドーム規模のライブ会場そして配信越しでも届くその射程には更に磨きがかかったと感じます。実際に私は両日2階席でもかなりの満足感と「ライブに参加している」という強い実感がありました。

 

浦の星交響楽団について

4thライブ以来の再びの参戦となった浦の星交響楽団による生オーケストラ演奏。アニメの劇伴作曲者であるカトタツこと加藤達也氏を指揮者に、今回はTAKUYAさん、本間昭光さん、MEGさん、岡嶋かな多さんといった楽曲制作サイドからも強力なゲストを加えた布陣でした。TAKUYAさんと本間さんはCYaRon2ndでも拝見しておりました。

 

前回4thでは幕間の劇伴とキセキヒカルの演奏のみでサポートに徹していた感がありましたが、今回はかなりの曲数でAqours歌唱曲のバック演奏が行われていました。また、CD音源を忠実に再現していた前回と違って、今回は劇伴も歌唱曲も結構なライブアレンジがされていた・・・ような気がします。はっきりしたことは分かりませんが私は今回の方が好きです。従来の音源に縛られずにより良い音楽を追い求めたスタイルが、型に嵌ることなく未来に突き進んでいこうとしている2022年今現在のAqoursそのものを象徴しているように思います。

 

Aqoursが主役でそれ以外は脇役だと完全に割り切ってしまうのではなく、周りの力も味方につけてより良いステージ良い音楽を作っていこうというスタンスにも見えました。めんどくさいオタクの間では賛否あるかもしれませんが、こういった攻めの姿勢でライブを作れるようになった今のAqoursの航行スタイルに私は感動しています。これからもどんどん新しいチャレンジを続けてほしいと思います。そして何よりももちろん、Aqoursの歌やパフォーマンスが力強い生演奏に負けていないということ。ここにAqoursの更なる進化を感じました。

 

私は普段からラブライブサンシャインの劇伴をよく聴き、沼津に行く時も聴き、ライブ行く前には必ず聴き、そして劇伴を聴けばそれだけでいろんな場面を思い出すようなオタクなので今回の生演奏もぶっ刺さりました。1期の曲を聴けば1期の、2期の曲を聴けば2期の頃に気持ちが戻ってしまうような感覚がありました。そして劇場版の曲は前回4th時点でまだ存在していなかったので、それに気付いたとき不思議な気持ちになりました。また、「薄暗い照明の会場で、着席して聴く」という状況から実際に映画館へ観に行ったときの感覚も思い出しました。劇伴を通してこれまでの物語や想い出を辿るという感覚が、このライブでしか味わえないものだと思いました。

 

指揮者の加藤達也先生。当たり前の話ですがこの世界の誰よりもサンシャイン劇伴曲の全てを知り尽くしている方なので、曲の盛り上がりに合わせて指揮棒を振る動きも大きくなるその姿が完璧に曲とシンクロしていました。それはまさにAqoursのシンクロダンスパフォーマンスにも匹敵する精密さにも見えて、視覚的にも美しいものだと感じました。また、Aqours歌唱曲においてもたびたびスクリーンに姿が映し出され、Aqoursとともにライブを作り上げているという真剣な雰囲気に胸が熱くなりました。バイオリン奏者でコンサートマスター真部裕さんもよく画面に映っていましたが、非常に真剣な目つきからこの音楽に懸ける熱意が伝わってきました。

 

皆さんプロの演奏家さんたちなので、きっとこの2年半はそれぞれ少なからぬ苦労を乗り越えてこられたのだろう、と勝手ながら想像して胸が熱くなっていました。それを裏付けるかのように全員が真剣なまなざしで音楽に向き合っておられました。楽団の皆さんのそういった姿がとてもかっこよかったです。

 

「きょうのAqours」について

幕間で流れた映像パート。描き下ろしのイラストと会話音声で、千歌たちAqoursの日常を切り取ったようなドラマパートですね。今回はDAY1で果南・曜と鞠莉・花丸、DAY2でダイヤ・善子と梨子・ルビィのシーンが流れ、共通してアンコール後の映像にて最後にみんなが千歌のところへ集まるという構成になっていました。

 

冒頭には千歌のモノローグで「海」について語られる場面もあり、それがAqours5周年展示会で書かれていた文言だったので驚きました。そこまでの文脈をこのライブに繋げてくることが胸熱でした。

 

海ははじまり。

いつでも見える。

うれしいときも、かなしいときも。

なにかをはじめる時、いつだってここだ。

 

今回のお話の核になったのが梨子・ルビィのエピソードで、この2人がお互いに楽曲作り・衣装作りを相談し合うために、1年生2年生でそれぞれ3年生を遊びに連れ出してもらったという説明がされます。梨子の家の隣、屋根の上で海を眺めながら何かを考えている千歌の姿。そして梨子の机の上に「約束の歌(仮)」と書かれたノートが置かれている描写でこのエピソードが終わります。

 

バラバラだと思っていた4つのエピソードがひとつに繋がるという構成に驚きましたし、それが今回のライブテーマ曲であるなんどだって約束!が出来上がるまでの(アニメサイドの)過程を描写したものだったことに感動しました。ぬまづフェスを通してスキドリが出来上がった構図と同じパターンじゃないか...ということにすぐに気づきました。ライブ全体を通して、幕間映像の中で千歌たちのエピソードを描くということ。これが今回のライブコンセプトにもぴったり合っていてとても良かったです。

 

まとめ

個別の楽曲について以外の感想は以上になります。全体を通して演出面の大幅なパワーアップと、今現在のAqoursが2次元/3次元の両面においてどういうスタンスで展開されているかを感じるライブになりました。WINDY STAGEというサブタイトルとOCEAN/SUNNYも含めた6thツアー全体を通して、目指すコンセプトがはっきり見えてくるライブでした。μ'sや虹ヶ咲やLiella、あるいはラブライブ以外のどんなコンテンツでも見ることのできない唯一無二のAqoursの世界がここにありました。そしてまた2022年以降のAqoursも新しい姿をどんどん見せてくれるのだろうという希望が見えました。

 

WINDY STAGE単体で見ると、やってない楽曲というのが山ほどあるんですよね。意外なことに青ジャンみら僕勇君などの主題歌群も一切やりませんでした。恋アクHPTも封印、デイドリスリワンも使わず。この辺りの役割を未ホラディレゾの双璧が担っていた印象です。あとはココマジの存在感にDREAMEY COLORFuture flightの入れ替わり、それに全体曲の歌うメンバーを絞ると新たな文脈が生まれるやつが~(Awaken the power未熟DREAMERなど)

 

・・・などなど、こうして1曲ごとに語り出すと永遠にブログがまとまらなくなりそうなので、これらをライブ感想【後編】に分けて書いていこうかと思います。ひとまず区切りとして【前編】は以上になります。ありがとうございました。

 

【後編】完成しました。続きはこちら。↓

 

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