オタクの備忘録

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20分でわかる?プリキュア現行17作品解説【オタクプレゼン再編集版】

知人のオタクグループ内で開催される「オタクオンラインプレゼン大会(OOPC)」の第2回大会が先日実施されました。今回の私の参加テーマは「プリキュアシリーズ概要」。初代ふたりはプリキュアから現在放送中のヒーリングっどプリキュアまで全作品をざっくり解説するというものでした。

 

 

今回は持ち時間が最大20分というレギュレーションのため内容に対してかなり時間が厳しいものでしたが、なんとか喋りきることができました。参加者の皆様ありがとうございました。他の方のプレゼンも興味深いものばかりでした。 

 

オタク向けで独断と偏見が大いに混じったプレゼンになりましたが、この内容をブログ用に加筆・再編集して残しておこうと思います。なお参考文献等はいちいち貼りませんので、一部解説に不正確な内容が含まれることをご了承ください。(もっと詳しい解説ブログとか公式スタッフインタビューとかググって読んでください。)

 

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(↑表紙のイメージ画像になんとなく置いてみた2人組と3人組はプリキュアではございません。)

 

0.はじめに

テレビアニメ「プリキュア」シリーズは、日曜の朝に放送されている人気の女児向けアニメ作品。主に中学生の少女たちが、異世界からやってきた悪いやつらから地球の平和を守るため伝説の戦士プリキュアに変身して戦うヒーロー物のアニメである。2人組~6人組のチームで構成されるプリキュアたちの固い結束、勧善懲悪の熱く真っ直ぐなストーリー、一部例外を除き基本的に素手で怪物たちと戦う豪快なバトルアクションなどが魅力である。あと単純にキャラが可愛かったり声優が豪華だったりする。そして泣ける。

 

製作は東映アニメーションで放送局はテレビ朝日系列。そしてメインスポンサーにしておもちゃ等のグッズ販売を主に手掛けるのがバンダイである。玩具の売上とそれを支える子供人気が製作の方向性や設定に大きな影響を与えるのが子供向け作品全般の特徴だったりする。

 

今回は、2004年2月1日に放送開始した初代から、現在まで続く17作品のおおまかな作風や特徴とその流れを主に解説する。毎年2月に開始して翌年1月に最終話を迎えるというちょっと珍しい形式は、春休み商戦(文房具など)に向けたものと言われている。

 

1. ふたりはプリキュア(無印)04年

伝説の初代。背景にあるコンセプトは「女の子だって暴れたい!」。キュアブラックキュアホワイトという2人の少女戦士が拳で怪物たちを倒していく、当時の女児向けとしては斬新な作風が注目を集めた。2人のイメージカラーが黒と白というのも従来の女児向けからの脱却と言われている。

 

あまりに実験的な作品だったので半年で区切れる2章構成になっていた。(と言われるが実際は最初から1年続くことは決まっていたらしい。)最初の半年で敵幹部5人とラスボスを一度倒してしまう、出し惜しみのない濃厚なスピード展開も面白さのひとつ。

 

全シリーズの中でも2人の友情・絆の描写が特に熱い作品。そしてプリキュアの「どんなピンチに陥っても絶対に諦めない心」、不屈の魂がシリーズの伝統になった。

 

2. ふたりはプリキュアMax Heart(MH、マックスハート)05年

同じ世界、同じキャラクターで続いた2年目。前作の高い評価を受けてバトルアクションが更に激しくなった。新キャラのシャイニールミナスは直接の格闘に参加しない後方サポート役の仲間だが、彼女の登場によりバトル描写や物語全体の幅が広がった。

 

3. ふたりはプリキュアSplash Star(SS、スプラッシュスター)06年

3年目は世界設定とキャラを総変更した独立作品。ブラックホワイトと雰囲気が似ててよく勘違いされるが主人公は全くの別人であるキュアブルームキュアイーグレットの2人。モチーフは「花鳥風月」であり、花・鳥をイメージした基本フォームの他に月・風の力を使う姿も登場する。

 

地球上の豊かな自然を美しく描いた世界観、「人だけではなく草木や水、風などの自然や万物に命が宿っている」というメッセージ性が尊い作品。前作から「バトルが激しすぎる、敵が怖すぎる」との声を受けて少し柔らかめの描写に寄ったほか、本作では直接打撃ではなく「精霊の光」(オーラとかバリアみたいなもの)を使って戦う方式が採用された。なおラスボスは某なんとかボールの宇宙の帝王並みに強くて結局怖すぎた。地球がヤバい。

 

良い作品であり好きなファンは少なくないが、商業的には少々苦戦したと言われている。初代の人気が高すぎて2代目がなかなか売れなかったという他のアニメや特撮でもよく見られる現象である。この時期には「おしゃれ魔女ラブ&ベリー」「きらりんレボリューション」などが女児人気を集めていたとか。

 

4. Yes!プリキュア5(5、イエプリ)07年

大きく方向転換し、プリキュアが一気に5人に増える。モチーフは「蝶」。5人組であることからのチーム感、そして各キャラの個性や関係性が魅力になった。お供のマスコット2匹は人間の姿に変身することができてイケメン青年になり、彼らとの恋愛展開も盛り込まれて好評だった。

 

敵組織がブラック企業であり女児と一緒に視聴するお父さんたちはそっちにも同情してた。中でも不遇な哀しき中間管理職のブンビーさん(CV高木渉、アドリブに定評のある面白おじさん)が高い人気を集め、最終的に彼だけが組織を抜け翌年まで生き残った。

 

5. Yes!プリキュア5GoGo(5G)08年

同じ世界観で続いた2年目。モチーフは「蝶」に加えて「薔薇」も合わさる。敵組織が別物だが前述のブンビーさんはそこに再就職して復活。6人目の戦士で怪力パワーファイターのミルキィローズが仲間に加わり、日常パートも戦闘シーンも更にスケールアップした物語が繰り広げられた。

 

アニメ製作陣は初代から続けてきたプロデューサー等がここまでで交代、本作が最初の5年間の集大成になった。終盤でピンチに陥ったプリキュアに「応援の手紙」がたくさん届いて力になる場面があるのだが、これは5年間で実際にプリキュアを応援する子供たちの手紙がアニメ製作スタッフにたくさん届けられて大きな力になったという感謝のメッセージが込められている。

 

6. フレッシュプリキュア!(フレプリ)09年

フレッシュというタイトル通り作風を一新。頭身が高めのシュッとしたキャラデザであり、題材にダンスやファッションが加わるなど少しお姉さん向けの作風になる。プリキュアは3人+中盤で仲間になる追加戦士1人。

 

この追加戦士は敵幹部の少女イースが主人公キュアピーチとの激闘の末にプリキュアに転生したもの。悪役としての過去の行いに葛藤しながら正義のために戦うなど重めのドラマも展開され、初期プリキュアを卒業した世代(小学校高学年~)の注目も集めたらしい。

 

7. ハートキャッチプリキュア!(ハトプリ)10年

水樹奈々が出てるやつ。(2020年7月7日、ご結婚発表おめでとうございます)丸っこい顔のデフォルメ気味なキャラデザが特徴的だが、これはおジャ魔女どれみシリーズを製作していたスタッフが本作を描いている。プリキュアは序盤2人と追加戦士2人で合わせて4人。

 

キュアブロッサムキュアマリン・・・内気な性格のピンクと能天気なブルーという少々異色のへっぽこコンビが、自身の悩みを克服しながら周囲の人々の「心の負の部分」に寄り添うという等身大の女の子の物語が魅力。「心」がメインテーマのためハートキャッチと題された。

 

10年経った現在でもシリーズ屈指の人気を誇る名作であり、当時の紅白歌合戦で主題歌が歌われたりもした。

 

8. スイートプリキュア♪(スイプリ)11年

「スイート」は音楽用語で「組曲」、音楽を司るプリキュアである。プリキュアは序盤2人+追加2人。序盤はキュアメロディキュアリズムという2人組の友情やすれ違いを軸に話が進むなど初代が意識されたストーリーだが、終盤は家族の絆人の悲しみの感情といった深いテーマも描く見応えある作品になった。

 

というのも、同年3月に発生してしまった震災が中盤以降の方向性に影響を与えたと言われている。そしてこの影響が翌年にも続く。

 

9. スマイルプリキュア!(スマプリ)12年

「笑顔」をテーマに個性の強い5人組が活躍する作品。前年の震災を受け、主人公キュアハッピーを中心として明るくコミカルな作風に振り切った。辛い事があっても視聴者が笑顔でハッピーになれるようにという願いが込められたプリキュア

 

コメディ色が強く、5人中4人がちょっとおバカだったり敵幹部もちょっと愉快な連中だったりする。黄色のキュアピース(CV金元寿子)が歴代トップクラスに可愛いと言われて特に大きいお友達の人気が高い。もちろん女児にも人気。

 

プリキュアが幼児化したり巨大ロボになったりなどとバラエティ豊かな展開が面白い。有名なエピソードとしてお笑い芸人の原西がキュアゴリラに変身するゲスト回があり、こういったギャグも許されるほどコメディに極振りされた特化型作品であった。

 

10. ドキドキ!プリキュア(ドキプリ)13年

テーマは「愛」。勉強もスポーツも完璧で皆に慕われる生徒会長という珍しいタイプの主人公・相田マナ/キュアハートを軸に、「博愛」や「他人を思いやる心」の素晴らしさを描いた物語。

 

前年とはうってかわって頭脳派なプリキュア達による、綺麗にまとまったバランス型作品と言ったところか。注目のキャストとしては寿美菜子渕上舞釘宮理恵大橋彩香などが出演。

 

11. ハピネスチャージプリキュア!(ハピプリ、ハピチャ)14年

プリキュアシリーズ10周年記念作品。中島愛戸松遥などが出演。メインのプリキュア4名のほか世界各地にプリキュアがいる設定で(アメリカのプリキュアやロシアのプリキュアなど)そんな彼女たちを倒してまわる強敵プリキュアハンターも出現するという、ちょっと特殊な世界観が面白い異端派路線とも呼べる作品。巫女や神様が登場するなど神話がモチーフになっているが、その神様(イケメン枠)がいまいち頼りなくて残念などの感想も。

 

この年、女児アニメ界隈ではアイカツ・プリパラの2大アイドル女児アニメ戦争が盛り上がっておりプリキュアは若干影が薄かった印象(※個人的な感想です)。加えて「妖怪ウォッチ」と「アナ雪」の大ブームが起きたのもこの年であり、子供人気がバラけて商業的にはだいぶ苦戦したと言われている。

 

12. Go!プリンセスプリキュア(ゴープリ)15年

上記の前作には少々苦しい感想を書いてしまったが、こちらはうってかわって私の大好きな個人的推し作品のひとつである。キャッチフレーズは「つよく、やさしく、美しく」。プリキュアは3人+追加1人。

 

努力家の主人公である春野はるか/キュアフローラが、強さと気品を備えた立派なプリンセスになることを目指す夢と成長の物語である。他のキャラも含め、それぞれが目指す「夢」に向かって進むことがメインテーマとなる。前作とは逆に地に足のついた正統派路線の作品とも呼べる。だから熱い。

 

日常パートから戦闘シーンまで全体的に画面が華やかであり、特に第1話の戦闘シーンなどに躍動感がありかなり美しく描かれている。キャストは沢城みゆき東山奈央などが注目されるか。

 

 

13. 魔法つかいプリキュア!(まほプリ)16年

遂にプリキュアが魔法を使うのか、と思いきややっぱりバトルは格闘メイン。当時ブレイク寸前だった若手声優高橋李依と、安定のベテラン堀江由衣という2人組。さらに追加戦士は早見沙織が担当する。

 

4種類のフォームチェンジや補助的に扱う属性魔法を駆使し、そして空飛ぶホウキを使った空中アクションなどバトル描写が多彩な作品。魔法界と人間界(魔法のある世界とない世界)という2世界を行き来しながら、異文化の壁を越えてそれぞれの世界や人と人とを「繋ぐ」ことがテーマのひとつ。

 

マスコットの喋るぬいぐるみであるモフルンが人気を集め、玩具も記録的なヒットだったらしい。このモフルンが変身してキュアモフルンとして戦う劇場版も好評。

 

14. キラキラ☆プリキュアアラモードプリアラ)17年

モチーフはスイーツと動物。変身するとウサギの耳が付いたりリスの尻尾が生えたりする。プリキュアは5人+追加1人で水瀬いのりが出演。

 

これまでの格闘戦を封印して、クリームやマカロンを使ったり戦闘中にお菓子を作って戦うなどプリキュアとしては異例の作品。キャラクターそれぞれの個性が丁寧に描かれており、パンチやキックと言った力だけが人々を守るのではないという「多様性の尊重」がテーマになっている。その一例としてボーイッシュなイケメン女子のキュアショコラなどが人気であり、中の人は宝塚で男役を経験した人だったりする。

 

ちなみにこの年のアニサマには本作の声優陣と主題歌担当歌手のチームが出演した。

 

15. HUGっと!プリキュア(ハグプリ)18年

シリーズ15周年作品にして「子育て」をメインテーマにした挑戦的な作品。タイトルは「はぐくむ」と「抱き締めるハグ」が掛かっている。プリキュアは3人+追加2人。小倉唯田村ゆかりなどが出演。

 

子育てが物語にある女児向け作品は過去にも複数存在するが、その中でも子供を守り育てる親の愛の強さや尊さを真剣に描いた作品である。共働きの家族や専業主夫の父親が物語に絡み、男子の若宮アンリが一度だけプリキュアに変身するなどジェンダー問題にも切り込んで話題になった。男らしく/女らしくと言った古くからの考え方に縛られる必要はないという新しい価値観を示している。

 

15周年記念として本編で過去作のプリキュアがゲスト参戦した。また、主人公たちの過去に隠された秘密や敵組織の正体と戦う理由をめぐる謎など厚めのストーリーも展開される。

 

16. スター☆トゥインクルプリキュア(スタプリ)19年

完結してる中では最新作。「宇宙と星座」がモチーフで異文化交流が主なテーマ。宇宙人である羽衣ララ/キュアミルキーが、地球から遠く離れた惑星サマーンという星からやってくるところから物語が始まる。プリキュアは彼女を含めた4人+追加1人。

 

地球の日常を守りつつ、ロケットに乗って宇宙を冒険して異星人と交流したりキーアイテムを集めたりする、ちょっと変わった世界観が面白い作品。テーマ曲を歌いながら変身するミュージカル調も特徴。

 

主人公の星奈ひかる/キュアスターを演じる成瀬瑛美でんぱ組.inc所属の現役アイドルだが、専業の声優とは違った持ち味の声と演技がキャラに活かされている。他に小原好美安野希世乃小松未可子上坂すみれ木野日菜などが出演。全体的に歌唱力が高めの布陣。彼女らによるライブイベントも開催されるなどキャストが割と表に出てくるようになったことも近年の風潮。

 

 

17.  ヒーリングっどプリキュア(ヒープリ)20年

現行作にして令和最初のプリキュア病気と戦う医者・獣医がモチーフだが、奇しくもコロナの影響が直撃して放送と製作が約2ヶ月ストップしていた。(6月28日にめでたく放送再開。)

 

主人公の花寺のどか/キュアグレース(CV悠木碧)は幼少期に重い病で長期入院していたため、「元気に生きる」ことの大切さを強く感じている。彼女を中心とした3人のプリキュアが、地球上の生物に病気をまき散らす敵集団ビョーゲンズから人々を守るため立ち向かう。また追加戦士にキュアアース(CV三森すずこ)が登場することが先日発表された。

 

 

以上17作品が2020年現在までのプリキュアシリーズである。これからもプリキュアは世界のために戦い続ける!

 

プリキュアシリーズたくさんあるけどおすすめ作品は?

どれから観ても面白いよ」というのが前提で、もし初心者に最初に勧めるならどれがいいか、を個人的な感想としていくつかピックアップします。

 

・直近ではヒープリやハグプリよりもスタプリの方が見やすいかもしれないという感想。演出や音楽のクオリティから物語の中身まで、現代の女児向けアニメ作品の完成形とも呼べる良作で間違いない。

 

・中期以降の作品だとまほプリゴープリが総合的にプリキュアらしい王道路線でおすすめ。説明不要に熱い。好き。 

 

明るいコメディ作品が好きならスマプリ。キャラも個性的だし基本的に1話完結ベースで気軽に楽しめるが、終盤はちょっと長く感じるかもしれない。逆に中盤以降がどんどん熱く面白くなっていくのがスイプリ。少しずつ明かされる物語の核心を追うのが面白い。

 

ハトプリは前述の通り圧倒的に人気が高く初心者にも安心。パッと見は少し変化球にも見えるが中身は結構王道、序盤から中盤終盤までずっと飽きないであろう魅力がある。

 

・それより古い作品を観るならとりあえず初代からいっとくのが鉄板。但し後々の作品と比べるとちょっと荒削りな時代感はあるが、それでも色褪せない熱さと勢いがある。

 

・オタク(大人)に勧めるならフレプリスプラッシュスターも推しておきたい。雰囲気が個人的に好きだから。

 

初代からハトプリまでの初期作品はdアニメストアで視聴可能。これら以外はバンダイチャンネルやU-NEXTなど他の配信サイト、あるいはTSUTAYAのレンタルなどで視聴できます。視聴手段は色々あるようなので気になる方はググってください。YouTube公式に各タイトルの第1話が上がってるのでとりあえずこれらを観るのも良し。

www.youtube.com

 

まとめ

・時代の流れ、人気の波に形を変えながらプリキュアの歴史は続いてきた。そこには製作スタッフの熱い想いと知恵と努力と経験、そして歴代ファンの応援の声が詰まっている。

 

・直球路線と変化球路線、重めと軽めの作品が交互に繰り返される傾向があった。さながらラーメンのこってり/あっさりの如く、様々な味を楽しめるのでいつまでも飽きない魅力がある。

 

最後になりますが、私は劇場版を含めて全シリーズのほぼ全話を視聴しております。(リアルタイムではなく後から追いかけたものがあったり、全エピソードを今でも完璧に覚えてるわけではなかったりしますが。)と言うと周りの知人にはそこそこ驚かれるようなのですが、私としては「ただただ面白いアニメを観続けていたら気付いたら16年経ってた」という感覚なんですね。たぶん他のプリキュアファンの皆さんもそうなんじゃないかと思います。

 

これだけの魅力がある作品、プリキュアの世界はとても広大で奥が深いですが、このブログを読んだ方が「こんな世界もあるんだな」「時間があったらちょっと観てみようかな」程度に覚えていてくれたら嬉しいです。以上です。